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オリジナル腕時計製作 

ひとの手仕事~実録シルクスクリーン体験記~

このブログでも何度かご紹介している、文字盤への印刷方法のひとつであるシルクスクリーン。
そんなシルクスクリーンですが、なんと先日研修に行ってまいりました!
研修ではコットン素材のトートバッグへの印刷体験でしたが、シルクスクリーン印刷はインクをのせヘラで引き、印刷するというシンプルな作業ながらも多くの工程とコツが必要でした。

今回はシルクスクリーンでの版作りから、製品に印刷されるまでの方法をご紹介していきます。

実際に体験してみた!~版作りから印刷まで~

1.型枠に紗を張ろう

シルクスクリーンは、その名の通り絹のような薄い布にインクを塗布しそれをヘラで引いて素材に印刷を行う手法です。名称としてはシルクとされていますが、現在では化学繊維の『紗』で版を制作しています。この『紗』を、ミノダインという接着剤のついたアルミ製の型枠に張ることから研修はスタート。

①まずは上の一辺を固定します。

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②反対側を紗貼機(しゃばりき)という、とげの付いた機材ではさみ力強く手前に折り返します。

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③たわまないように紗貼機を押さえたまま、接着します。

④固定するためにドライヤーをかけます。

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⑤ ①から④の工程を左右の2辺でも行いましょう。

⑥4辺の余分な『紗』をカットして完成。

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※均等な力で4辺を固定するのがきれいな版のためのポイントです!

2.乳剤を塗って、『紗』の布目をふさぐ

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次は、乳剤という専用液を紗に塗る工程です。この乳剤はわずかな光でも硬化してしまうため、暗室の中で作業を行いました。この際にバケットという入れ物に乳剤を注ぎ、左手にもった紗に対して右手で引き上げるように塗布を行います。この作業、左右で同時にしかも均等なスピードで行わなければならないためとても難しい。ムラにならないように適度なスピードと角度でバケットを引き上げます。乳剤を塗り終わったら、暗室の中で10分程度乾燥させます。

3.感光させる

乳剤を塗り乾燥を終えたシルク枠に、透明なフィルムに印刷された原画を載せて大型の感光機にかけます。
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ここでも感光を防ぐため、作業は暗室内。移動時も光が当らないよう細心の注意を払います。選択したデザイン部分には光が当らないため、乳剤が硬化することはありません。この硬化しなかった部分がインクを通すようになるのです。

①紫外線の照射は45秒程度、真空状態にしながら感光を行います。
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②感光後はすばやく版の水洗いを行い、余分な乳剤を洗い落とし感光をストップさせます。

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③洗い落とした版にドライヤーを当てて乾かしましょう。

4.いよいよ印刷

3つの工程を経て版ができあがりました。いよいよ素材に印刷です。今回は練習用のトートバッグに顔料で刷っていきます。ここでも絶妙なスピードと力加減が求められます。

①机にスプレー糊を拭きつけ、トートバッグを固定。
②刷りたい部分に版を乗せる。

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③好きな色を選んで版の上に置き、ヘラを手前に引いていきます。
④刷った部分がかすれないよう、垂直に版を引き上げます。
⑤ドライヤーである程度まで乾かしたら、当て布をしてアイロンをかけます。DSC01114

これでインクが定着します。 ⑥オリジナルデザイントートバッグの完成です!

※顔料とは
素材に対して、その表面上に色をのせるもの。初心者でも比較的扱いが簡単でやや盛り上がったような仕上がりになる。
一方、素材にしみこんで色をつけるものは染料とよばれる。
染料は素材に対して決まったパーセンテージの濃度でしか染み込まない。これらを加味してインクを調合する必要がある。

「シルクスクリーン体験」を終えて

以上がシルクスクリーンでの版の作り方と、印刷方法です。
版が完成するまでの工程も多く、スピードや力加減などの技術が必要なため、思った以上に難しいものでした。
腕時計の文字盤がシルク印刷で一個一個作られていると考えると、高度な職人技であるといえます。
今回は実際に版作りから印刷までを経験することで、機械とはまた違う精緻な人間の技術があることを経験できました。
手間ひまかかる印刷方法ですが鮮明な仕上がりのため、少ない色数やロゴに最適です。
職人技の光るシルクスクリーン印刷、シンプルなデザインの文字盤印刷にぜひご活用くださいね。