自社ブランド商品はどのように作るか
同じように商品を販売するにも、ただ単にメーカーが製造した規格品を販売するのと、自らの店舗が自社ブランドとして展開しているラインから販売するのでは多少異なる面があります。例えば、より自社が打ち出すオリジナルのイメージに近いものを商品にしようと思ったり、お土産やノベルティなどその地域やイベント、サービス独自のグッズとして販売したりする際には、メーカーが既に作成している規格品では物足りない一面があるでしょう。
小売店や観光協会、もしくはイベント主催者などが独自に打ち出す商品ラインとして自社ブランドを立ち上げ、そこでしか提供されないオリジナル商品の作り方とはどのようにすればよいのでしょうか。
オリジナル商品を自社で作ることができないとき
あらゆる商品において、それぞれに製造ノウハウというものは独自にあるものです。それぞれの分野に長けた製造メーカーの存在があって成立しているわけあり、小売店は本来そのメーカー品を卸売で購入し、顧客に販売するのが通常です。
しかし、小売店の自社ブランドや観光地のオリジナル商品、またはイベントノベルティといったように商品にオリジナリティが求められる場合は、既存のメーカー規格品では賄えないわけです。かといって、もともと小売店である店舗では、それぞれの商品の製造ノウハウを持っているわけではありません。
そこで、例えば腕時計なら時計を専門に作っているメーカー工場にオリジナル商品の製造を発注して、商品の供給を受けるというシステムが存在します。それがOEMと呼ばれるもので、小売店とメーカーの間で一般的に取り交わされる提携の形です。

OEMのシステムを利用する
このOEMと呼ばれるシステムは、小売店が打ち出した自社ブランドの商品を他社メーカーが製造するというもので、腕時計に限らず非常に多種多様な商品流通においてもちいられているビジネスモデルです。
このシステムを活用することで、小売店はより取扱商品に幅を広げてオリジナリティを出すことができ、メーカー側も商品を安定供給できるといったメリットが生じます。特に腕時計のように精密な機器は、そう簡単に製造できるものではないことから、小売店などで商品企画を行う際に腕時計の販売を決めた場合には、その製造ノウハウを持った専門メーカーにオリジナルの規格や仕様を持ったものとして発注するわけです。
自社ブランド腕時計の作り方
では、そのOEMによる自社ブランドの腕時計の作り方とはどのようなものでしょうか。
【OEMの詳細】
OEMの大まかな仕組みとは、自社で立ち上げたブランドの商品を、他社メーカーが製造して販売するものです。主には自社ブランドで製造ノウハウを持っていない場合、また自社では補いきれない部分に関して、その分野に長けた他社メーカーのノウハウを借り、製造を依頼して自社ブランド商品とします。
販売側からすれば、自社にない面を他社に補ってもらえるだけではなく、もともと商品の製造ノウハウを持たない小売店が自ら商品の仕様を指定し、より消費者のニーズに応えた商品を作ることができます。
腕時計なら、特殊性のある製造技術を専門メーカーから借り、時計を専門としない会社や店舗、または同業のメーカーに商品そのもの、もしくは機構の一部を提供してもらうというシステムです。
【プライベートブランドとは】
OEMの形態において、メーカーに商品製造を依頼した会社が小売業であった場合、その小売会社が立ち上げた自社ブランドを特にプライベートブランドと呼びます。通常はメーカーが販売するナショナルブランドの商品を小売会社が販売する形となりますが、プライベートブランドは最も消費者に近い立場の小売会社がそのニーズをダイレクトに受けた商品をできる強みがあります。
また、メーカー側からしてみても商品の供給をコンスタントに行うことができ、また販促活動などは小売会社が持つマーケティング力に頼ることができるといったメリットがあり、それぞれに利点をもたらしてくれる仕組みなのです。
腕時計においても、時計製造のノウハウを持たない小売会社が立ち上げたブランドで、時計専門のメーカーが製造した商品を販売するというパターンが存在しています。
【自社ブランドの商品展開】
腕時計を始め、小売会社で立ち上げたプライベートブランドの商品を展開するために、まずは自社ブランドの作り方から始めます。ブランドとはそのイメージを通して商品の価値を左右するものですから、その作り方にはマーケティングにおいて必要な要素を考慮しなければなりません。
▲ブランドコンセプトを決める
特に腕時計ブランドなら、高級感を打ち出したりそのブランド名などから商品を連想したりといったイメージを作り出すことを考える必要があります。長く使えるものとして、またファッションの一環として、腕時計に持ってもらいたいイメージをブランドから感じ取ってもらうことを狙うのがブランド立ち上げの意義の1つです。
ブランド名の意味や語感、ロゴデザインから受ける印象など、直感でその商品がどのようなものかを連想させるように仕向けることが第一段階です。
▲ターゲットを絞る
商品を販売するに当たっては、年齢、性別、生活スタイルなどさまざまな方面からターゲットにする層を定めた方が、販売戦略としてうまくいきます。腕時計は、同じジャンルでも購入層によってそのタイプがかなり分かれるものであるため、ただ腕時計なのではなく、どういった層が身につけるものなのかをしっかり定め、そのターゲットにより支持されるようなブランドの作り方を行うことが求められます。
同業で同じようなターゲット層を相手にする競合ブランドについてもリサーチしておきます。
▲販促方法を定める
同じ商品を販売するのにも、どのように販促活動を行っていくかにはいくつか方法があり、さらにターゲットとする層によってその方法に違いが出てきます。インターネットサイトを設立するにしても、そのページのデザインやイメージがよりターゲット層に響くものであることが必要です。
また、できるだけブランド専用の独自ドメインを取得し、取引先にわかりやすいようにしておくことも有効です。
その他、営業活動を随所で行うために、ブランドイメージに沿った名刺やパンフレットを作って配布すれば、商品イメージに加えて具体的に展開している商品の概要もつかんでもらえることとなります。
立ち上げたブランドで効果的に売る
こうしてそれぞれにオリジナルブランドを立ち上げて商品展開していくわけですが、その販売方法はプライベートブランドとして、ノベルティグッズとして、またはお土産品としてなど多岐にわたるでしょう。それぞれのフィールドで効果的に売るには、それぞれの個性を前面に出すことが重要となります。
そうした個性を出すには製造メーカーと綿密に打ち合わせを行いましょう。メーカーはその分野のプロですから、それぞれの要望をきちんと反映してくれることでしょう。