お問い合わせ
BLOG

OEM 販売用オリジナル腕時計の制作事例

ファッション業界では、自社ブランドの世界観を表現したオリジナルアイテムを展開する動きが活発になっています。

その中で、存在感のあるアクセントとして注目されているのが腕時計です。

アパレルブランドや革小物ブランド、アクセサリーブランドなどが、ファッション性と実用性を兼ね備えたオリジナル腕時計の製作に取り組むOEM事例が増えています。

既製の時計ブランドから商品を仕入れる選択肢もありますが、既存製品ではブランドのコンセプトや美意識に合致するものが見つからない場合もあります。

また、ブランドを愛用するファンの中には、服だけでなく腕時計まで自分の好きなブランドで揃えたいというニーズも根強く存在します。

こうした需要に応える形で、オリジナル腕時計を展開するブランドが増えているのです。

本記事では、実際にOEMで制作されたオリジナル腕時計の事例をご紹介しながら、ブランドの魅力を形にするアイテムとしての可能性に迫ります。

OEMとは

「OEM」とは、「Original Equipment Manufacturer(オリジナル・エクイップメント・マニュファクチャラー)」の略で、他社ブランドの製品を代わりに製造すること、またはそのメーカーを指します。

例えば、アパレルブランドが自社名を冠した腕時計を販売したいとします。

しかし、自社に製造設備や専門技術がなくても、時計製造に特化した企業に製造を委託すれば、自社ブランドとして商品を展開できます。

このとき製造を請け負う側の会社がOEMメーカーとなります。

  • 依頼側(ブランド側):デザインや仕様を決める。自社ブランドとして販売。
  • 製造側(OEMメーカー):依頼された内容に基づいて製品を作る。

OEMは、商品開発のコストを抑えながら、自社ブランドの商品ラインナップを広げたい企業にとって、非常に有効な手段です。

OEMでオリジナル腕時計を製作する前に知っておきたい視点

どちらを製作するのかを決めてサイズやデザインを考える前に、時計というアイテムの基本的な構造について、少しだけ触れておきたいと思います。

ネットショップなどでは「ケースサイズ30㎜(※竜頭含まず)」といった表記を見かけますが、「直径3㎝の丸いものが手首に乗る…?」といったように実際にはよくわからないという人が多いのではないでしょうか。

サイズ感がイメージしにくい原因のひとつに、時計の専門用語への理解不足があります。

「ケースサイズ」と言われても、時計に詳しくない人には「ケース=本体」という意味すら伝わらないことがあります。

時計業界では「ケース」は当たり前に「本体部分」を指しますが、一般の方にとっては「外箱」のことだと思われることも多いでしょう。

例えばこのようなやり取りが考えられます。

お客様が「この腕時計のケースって、どんな感じですか?」と尋ねたとします。

そこで店員が「ステンレスになります」と答えると、「ステンレスの箱!?ずいぶん重そうだな」と驚かれてしまうかもしれません。

少し脱線しましたが、話を戻しましょう。

ファッションブランドでオリジナル腕時計を作る際は、まず「メンズ」と「レディース」という大きなカテゴリに分けるところから始まります。

メンズでは大きめのケースや重厚感のあるデザインが好まれる傾向があり、黒やネイビーなどの落ち着いた色合いで製作されることが多いです。

レディースモデルについて言えば、以前は小ぶりなサイズが主流でしたが、最近ではあえて大きめのモデルを選ぶ女性が増えています。

一見、意外に感じるかもしれませんが、その理由の一つは「遠近感の演出」です。

1990年代に流行した「EGGポーズ」を覚えている方もいるかもしれません。

プリクラなどで両手を前に出すことで、顔を小さく見せるというテクニックです。

同じように、大きめの腕時計を着けることで手首が細く見える視覚効果を狙うという意識から、大ぶりなデザインを好む女性が増えているのです。

こうした感覚的なこだわりやスタイルへの微調整は、既製品の時計ではなかなか表現しにくいものです。

だからこそ、ブランド自身が世界観や美意識を反映させたオリジナル腕時計を企画・製作する価値があるのです。

色味、サイズ、質感、ディテールすべてにこだわった時計は、ただのアクセサリーではなく、ブランドとファンをつなぐ大切なアイテムになります。

OEMで作るアパレルブランドのオリジナル腕時計の選び方

アパレルブランドがオリジナル腕時計を製作する際、「どのモデルを採用するか」という視点もあります。

選び方の基本は明確で、自社のブランドコンセプトに合うかどうかが最優先の判断軸になります。

ブランドの世界観に合うモデルを探す

最も理想的なのは、すでに用意されたベースモデルの中に、自社のブランドイメージとフィットするものがあるときです。

その場合は、文字盤や針、裏蓋の刻印など、デザイン部分をブランドらしく仕上げていく工程に入ります。

ただし、どれだけ選択肢が豊富でも「これだ」と思えるモデルが見つからないこともあります。

その場合は、現在のトレンドや人気モデルの傾向を取り入れて仕上げていきます。

過去の流行と現代の潮流を押さえる

時計の流行は、時代背景によっても大きく変化してきました。

バブル期には高級志向が広まり、ハイブランドやロレックスといった王道モデルが人気を博しました。

バブル崩壊後は機能性や耐久性が重視されるようになり、「G-SHOCK」に代表されるシリコン素材の実用的な腕時計が流行しました。

ただし、これらのブランドやモデルも時代によって何度も再ブームを巻き起こしています。

つまり「過去に流行した=もう終わった」ではなく、タイミングや見せ方次第で再評価される可能性があるということです。

素材や社会的テーマにも注目を

腕時計は、機能性だけでなくファッションアイテムとしての側面も強く持っています。

そのため、流行色や素材のトレンドを把握することが、モデル選定の大きなヒントになります。

近年では、SDGsの理念や環境配慮型素材を取り入れたデザインにも注目が集まっており、ブランドの価値観とリンクさせた展開が支持される傾向にあります。

OEM オリジナル腕時計製作事例の紹介

当社では、レディース・メンズはもちろん、KIDS向けまで、さまざまなブランドのオリジナル腕時計をOEMで製作しています。

ここでは製作事例をいくつかご紹介します。

amorous insense様

amorous insense様は「直感や感覚で楽しむファッション」をコンセプトに、女性の色気や強さを引き出すスタイルを提案されているブランドです。

周囲と違うファッションにも自信を持てるような、自由で芯のある世界観が特徴です。

ご依頼の背景

あなたと幸せな瞬間を運ぶ時計の製作を希望され、また数あるモデルの中から、薄型の時計を選択されました。

担当者の声

検討された仕様は以下のとおりです。

  • ケースカラー:金・銀の2種類
  • 文字盤カラー:白・黒の2種類
  • バンドカラー:黒・茶の2種類

これらを組み合わせた全8パターンをすべて制作いたしました。

ケース文字盤バンド

入稿データとしては2パターンのみでしたが、製品としては全8種を展開。

仕様自体は複雑ではありませんでしたが、それぞれの組み合わせがどのパターンでどの箱に入るかを明確に識別できるように、工場に指示を出すための資料作成に手間がかかりました。

アメカジファッションブランド様

アメリカンカジュアル、いわゆる“アメカジ”スタイルを軸に、ロックンロールやロカビリーファッションを幅広く取り扱うあるブランド様からご依頼がありました。

店主のこだわりが詰まった店舗を運営されており、ファンとの距離感を大切にした独自の世界観を展開しています。

ご依頼の背景

ブランドの世界観に合ったパロディ的な腕時計を製作したいとのことで、店主様ご自身が愛用していた某ブランドのモデルをオマージュし、自社ロゴへと置き換えたデザインをご希望いただきました。

時計の元ネタには、ある秘密結社をモチーフとした背景があり、ただの模倣ではなく、遊び心やユーモアを込めたパロディグッズとして展開する意図がありました。

担当者の声

ご希望いただいた腕時計は、市販モデルでは見かけない特殊なケース形状をしており、既存のベースモデルでは対応が難しいものでした。

そのため、ケースの設計からオリジナルで製作することとなりました。

製作にあたっては、店主様より実物の時計をお借りし、そこから鋳型を起こして形状を再現。

クォーツ式の構造であれば多くの時計が複製可能ですが、実物がないと鋳型制作ができないため、現物提供は非常に助かりました。

今回のように、既存のデザインをベースにしたオマージュ作品を制作する際は、著作権や商標に関するリスクを伴うことがあります。

弊社はあくまで、お客様から入稿されたデザインをもとに製作する下請け業者であるため、デザインそのものの合法性までは判断が難しいのが実情です。

このご依頼を受けた当時、「フランク三浦」と「フランク・ミュラー」の商標問題が話題となっていました。

パロディか否か、類似の程度、消費者の混同可能性などが争点となったこの裁判では、「外観・観念が異なる」として非類似との判断が下されました。

この案件も、まさにそういった法的議論と並走して進められたため、印象深い事例のひとつとなりました。

yu-i factory様

yu-i factory(ユーイファクトリー)様は、沖縄の「駆除ハブ」を活用してハブ革グッズを製作しています。

沖縄で唯一、ハブ革の鞣し加工からデザイン、製品化までを一貫して行うファクトリーであり、環境への配慮と地域資源の活用を両立したモノづくりを追求しています。

製品ラインナップは財布やキーケースをはじめ、女性に人気のアクセサリー類まで幅広く展開。

天然素材ならではの模様や風合いを活かしたデザインにファンも多く、全国から注目を集めるブランドです。

ご依頼の背景

「ハブ革を文字盤に使った腕時計を作りたい」というご相談をいただきました。

yu-i factory様にとっても初の試みであり、素材の特性を活かしながらも、時計としての機能を損なわない構造にできるかがポイントとなりました。

担当者の声

通常、オリジナル腕時計のデザインは文字盤の印刷を中心に行います。

しかし今回は、印刷ではなく「実際のハブ革」を貼り付けるという前提がありました。

一見すると「時計の中に何かを入れる」ことは珍しくないように思えます。

例えば、立体インデックスのある文字盤や、キャラクターや食品サンプルを目盛り代わりに使った掛け時計などがあります。

しかし、腕時計では針と文字盤の間にわずかな隙間しかないため、そこに厚みのある素材を挟むと、針が引っかかって動かなくなるリスクが生じます。

特に今回のように文字盤全体に素材を敷く場合、隙間は約0.1〜0.2mm。

この中に革素材を入れるには、精密な調整が不可欠でした。

本来であれば、針と文字盤の間に余裕を持たせた設計で、時計全体を一から作るのが理想です。

しかし、そうなるとケース・裏蓋・レンズなどすべてのパーツを一から設計・鋳型製作する必要があり、コストと納期の面で現実的ではありません。

そのため今回は、既存モデルの中から針と文字盤の間隔が最も広いものを探し出し、さらにyu-i factory様にも「ハブ革をどこまで薄く加工できるか」をご確認いただきました。

結果として、革の薄さと時計の構造が奇跡的にマッチするモデルが1つだけ存在し、そのモデルがもともと希望されていたデザインにも合致。

素材と構造、どちらも無理なく成立するかたちで製作が実現しました。

まとめ

アパレルブランドが腕時計を製作するというのは、想像以上に難しい挑戦です。

「ファッションの一部」として括るのではなく、時計そのものの歴史や専門性と向き合う必要があるからです。

腕時計には、大きく分けて2つの流れがあります。

ひとつはロレックスのような時計メーカーが作る本格的な腕時計。

もうひとつは、シャネルのような服飾ブランドがファッションの一部として作る腕時計です。

ある日本酒好きの男性が語った話があります。

「日本酒は酒に合わせて肴を選ぶ。ワインは料理に合わせて選ばれる。そこが好きなんですよ」と。

この例えでいえば、時計メーカーの腕時計は日本酒で、時計そのものを主役とし、そこにスタイルを合わせていくイメージです。

一方、アパレルブランドが作る腕時計はワイン。

ファッション全体のコースに合わせ、最後の一杯として完成させる存在と言えるかもしれません。

つまり、オリジナル腕時計の制作は、ブランドが自らフルコースを提供するということ。

服・バッグ・アクセサリーすべての調和を前提に、ベストマッチする「最後の一品」として時計を設計できるのは自社しかありません。

既存のブランド時計がライバルになるからこそ、「そのブランドらしさ」を追求した腕時計は、単なるアクセサリーではなく、ブランド体験そのものになります。

OEMによるオリジナル時計の製作はNEW COLORSにお任せください。

NEW COLORSのオリジナル時計 OEM

簡単

オリジナル時計製作簡単見積もりはこちら