
腕時計の電池交換はどこでできる?依頼先の選び方と自分で交換する方法

普段使っていない腕時計を久しぶりに取り出してみたところ、動きが止まっていたという経験はありませんか?
ほとんどの場合、原因は電池切れです。
再び動かすためには電池交換が必要になりますが、どこに依頼すればいいのか、また自分で対応できるのか迷う方もいるでしょう。
この記事では、電池交換を依頼できる場所や、自分で交換する方法について解説します。
INDEX
電池交換が必要なのはクォーツ式腕時計
腕時計には、大きく分けて「クォーツ式」と「機械式」の2種類があります。
このうち電池交換が必要なのは、クォーツ式腕時計です。
クォーツ式腕時計は、クォーツ(水晶振動子)の正確な振動を利用して時間を計測し、内部の電池で動作します。
電池が消耗すると動かなくなるため、定期的な電池交換が必要になります。
一方、機械式腕時計はゼンマイを巻いて動かす仕組みのため、電池を使用せず、電池交換も不要です。
腕時計の電池切れに気付いたら、できるだけ早めに交換しましょう。
腕時計の電池を切れたまま放置すると、内部で過放電が進みガスが発生し、圧力が高まります。
その結果、封止部からアルカリ性の電解液(水酸化カリウムなど)が漏れ出し、金属端子や歯車、回路基板に付着して腐食を引き起こします。
腐食が進むと電池を交換しても動作せず、部品交換やオーバーホールが必要になる可能性があります。
腕時計の電池交換を依頼できる場所
腕時計の電池交換が必要になったときは、どこに依頼すればよいでしょうか。
ここでは、主な依頼先を紹介します。
時計専門店
町の時計屋や百貨店などにある時計専門店は、腕時計の電池交換に対応しています。
専門知識を持つスタッフが対応してくれるため、精度の高い作業が期待できるでしょう。
購入店舗であれば、保証やアフターサービスが適用されることもあります。
電池交換とあわせてメンテナンスを受けられることも多く、安心して任せられるのが特徴です。
家電量販店
ヨドバシカメラやビックカメラ、ヤマダ電機などの大手家電量販店でも、腕時計の電池交換を受け付けています。
料金は比較的安く、即日対応してもらえることが多いため、手軽に利用できる点が魅力です。
ホームセンター
カインズ、コーナン、DCMなどの大型ホームセンターでも腕時計の電池交換を受け付けています。
多くの場合、時計をメーカーに送って対応する「預かり対応」となります。
そのため、作業完了までに1〜2週間程度かかることも珍しくなく、急ぎの場合には向きません。
ホームセンター内に時計修理に対応した併設ショップがある場合は、そこで即日対応してもらえることもあります。
靴修理・合鍵製作のお店
ミスターミニットやリアットなど靴修理や合鍵製作を行う店舗でも、腕時計の電池交換を受け付けています。
こうした店舗は、ショッピングモールや駅ビルのテナントとして出店していることが多く、買い物や通勤のついでに立ち寄れる点が魅力です。
製造メーカー
腕時計の製造メーカーに、電池交換を依頼することもできます。
メーカー独自の電池や特殊な内部構造を持つモデルでは、他の店舗での交換作業が故障の原因になる可能性もあるため、確実な対応を求めるならメーカーに依頼するのがもっとも安心です。
料金は一般的な店舗より高く、作業完了までに時間がかかる傾向があります。
腕時計の電池交換は自分でできる?

自分の手で腕時計の電池交換をしてみたいと考える方もいるかもしれません。
不可能ではありませんが、作業に失敗し故障の原因になることも多いため、基本的にはあまりおすすめできません。
また、必要な工具を一通り揃えると、店舗に依頼する場合と費用面であまり変わらないこともあります。
それでも自分で交換したい場合は、リスクを理解した上で自己責任で行いましょう。
電池交換時に必要となる専用工具は以下です。
- ピンセット
- 精密ドライバー
- 側開器
- 保持器
- こじ開け
- ハンマー
このような工具は「腕時計修理キット」として、ホームセンターやAmazonなどで入手できます。
そして電池交換の難易度は、以下のように腕時計の裏蓋の構造によって変わります。
はめこみ式(スナップバック/こじ開け式)|易しい
ネジや溝がなく、裏ぶたとケースが圧着されているタイプ。
ネジ式(ネジ止め式)|易しい
裏ぶたが複数本のネジ(ビス)でケース本体に固定されているタイプ。
スクリュー式(スクリューバック)|難しい
裏ぶた自体がネジ状になっており、ケースの溝に合わせて回して締め付けるタイプ。
腕時計に使う電池の種類

腕時計の電池は、大別すると「酸化銀電池(SR)」「アルカリ電池(LR)」「リチウム電池(CR)」の3種類が主に使われています。
酸化銀電池(SR)
酸化銀電池(SR)は、腕時計に最も多く使われている電池です。
寿命は長い場合で3年ほど持ち、電圧が一定しているため、電池が切れる直前まで安定した動作を保ちます。
価格はやや高めですが、精度が重視されるアナログ時計で広く採用されています。
アルカリ電池(LR)
アルカリ電池(LR)は、二酸化マンガンを利用した電池で、酸化銀電池(SR)よりも低コストで製造できます。
ただし電圧の安定性に欠け、寿命も1〜2年程度と短めです。
そのため精度を重視する腕時計には適していませんが、子ども向けや低価格帯のおもちゃ型の腕時計では広く使われています。
リチウム電池(CR)
リチウム電池(CR)は、寿命が3〜5年程度と長めで、酸化銀電池よりも持ちが良いのが特徴です。
電力消費が大きい多機能型のデジタルウォッチで多く採用されています。
10周年記念など特別仕様の腕時計などでよく選ばれます。
腕時計の電池を自分で交換する手順

ここでは、腕時計の電池を自分で交換するときの基本的な手順と注意点を解説します。
腕時計のパーツ名称についてはこちらを確認してみてください。
1. 裏蓋のタイプを確認する
まず、腕時計の裏蓋の構造を確認します。
2. 適切な工具を用意する
ネジ式は精密ドライバー、はめ込み式は「こじ開け」、「ハンマー」スクリュー式は「側開器」、「保持器」が必要です。
裏蓋のタイプ | 必要工具 |
---|---|
ネジ式 | 精密ドライバー |
はめ込み式 | こじ開け ハンマー |
スクリュー式 | 側開器 保持器 |
3. 裏蓋を慎重に開ける
ネジ式の場合
- 精密ドライバーを使い、裏蓋の周囲にある小さなネジを一つずつ丁寧に外します。
- ネジを失くさないように注意し、外したネジは小皿などにまとめておきます。
- すべてのネジを外したら、裏蓋をゆっくりと持ち上げて外します。
- 無理にこじ開けたりせず、固い場合はネジの外し忘れがないか再確認しましょう。
はめ込み式の場合
- こじ開けを裏蓋とケースの間の隙間に差し込みます。
- 隙間が見つからない場合は、ラグの間や裏蓋の一部に小さなくぼみがあることが多いので、そこに工具を差し込みます。
- 工具をゆっくりとねじるようにして、裏蓋を少しずつ持ち上げます。
- 必要に応じてハンマーで軽く叩くこともありますが、強い力は厳禁です。
- 裏蓋が外れたら、パッキン(防水ゴム)が傷付いていないかも確認します。
スクリュー式の場合
- 側開器を裏蓋の溝やくぼみにしっかりと合わせます。
- 時計本体を保持器でしっかりと固定し、側開器を回して裏蓋を反時計回りにゆっくりと緩めます。
- 最初は固いことが多いので、無理に力を加えず、工具がしっかり溝に噛んでいることを確認してから回します。
- 裏蓋が緩んだら、手で回して外します。
- 裏蓋を外した後は、パッキンや内部の部品に触れないよう注意します。
5. 電池を外し交換する
古い電池をピンセットなどで丁寧に外し、新品電池を正しい向きでセットします。
6. 裏蓋を元に戻す
電池交換が済んだら、開けたときと同じように裏蓋を元に戻します。
パッキンのズレや劣化がないかを確認し、しっかりと密閉するように閉めて完了です。
電池交換の様子を動画にしましたので参考にしてみてください。
まとめ
腕時計の電池交換は、時計専門店や家電量販店、ホームセンター、製造メーカーなどで対応してもらえます。
作業時間は通常15分ほどですが、店舗によっては預かり対応となり、2週間から1か月かかることもあります。
自分で交換することも可能ですが、専用工具の扱いに不慣れな場合、破損のリスクが高まります。
したがって、特に思い入れのある時計や高級モデルは、無理をせず専門店に任せたほうが安心です。
もし電池切れに気付いたら、液漏れによる故障を防ぐためにも早めに電池交換しましょう。